「最近、うつ病などメンタルヘルス に関連する疾患を抱える従業員が増え ています。採用の段階で、過去のうつ 病歴などを確認し、配置や業務内容に配慮したい と考えています。しかし、既往歴はセンシティブ な個人情報でもあり、厚生労働省のガイドライン では「採用選考時に合理的な必要性のない健康情 報の取得は避けるべき」とされています。採用面 接で質問しても問題ないのでしょうか。」 1 採用の自由の原則と例外 労働契約も契約の一種であることか ら契約自由の原則が妥当し、これに 伴って労働者の採用に関しては企業に採用の自由 が認められています。すなわち、企業が労働者を 雇用するにあたり、いかなる者を雇い入れるか、 いかなる条件でこれを雇うかについて、法律その 他による特別の制限がない限り、原則として自由 にこれを決定することができるとされています。 (三菱樹脂事件・最判昭48.12.12参照) そして、採用の自由の内容として、採用に際し ての選考プロセスや、採用基準についても企業が 自由に決められることが原則となりますが、プラ イバシー権を侵害するものであったり、採用差別 にあたるものであるような場合は、法律その他に よる制限に違反するものとして違法と評価される 可能性があります。 特に、プライバシー権の保護については、一般 の意識も変化してきていますので慎重な検討が必 要となります。 2 厚生労働省の指針 厚生労働省は、「公正な採用選考の基本」を公開 しており、採用選考の基本的な考え方として、以 下の2点を示しています。 ・応募者の基本的人権を尊重すること ・応 募者の適性・能力に応じた基準により行う こと そして、これらの基本的な考え方を実践するた めに配慮すべき事項として、以下の3点を示して います。 ・本人に責任のない事項を把握してはならない ・本 来自由であるべき事項を把握してはならな い ・採 用差別につながるおそれのある採用選考の 方法と実施してはならない 3 裁判例の傾向 採用の自由とプライバシー権の関係について は、参考となる以下のような裁判例があります。 採用選考時に、過去のうつ病などの既往歴を確認することは可能か Q A Q&A 労働問題 弁護士 大原 雅之 (井関法律事務所) 10 兵庫経協 2026年新年号
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