【歯の健康シリーズ】 T O P I C S 人のコミュニケーションには、言語コミュニ ケーションと非言語コミュニケーションがあります。 非言語コミュニケーションの一つの要素である視覚 情報は、第一印象において非常に大きな意味を持つ と言われています。名刺交換、プレゼン、面談、商 談など、わずか数秒で形成される第1印象は、その後 の信頼関係を左右します。その第一印象の中でも、 意外に注目されているのが「口元」です。笑顔や話 し方、歯の色、歯並び、口臭、など、口元が与える 印象は自分が思っている以上に大きいものです。 清潔感のある白い歯やきれいな歯並びは、誠実 さ・知性・信頼感を相手に与えるといわれています。 反対に、着色の目立つ歯や、会話中に不快感を与え る口臭は、いくら優れたビジネススキルを持ってい ても、その印象を損なってしまう恐れがあります。 実際、意識の高い管理職の方や、人と接する機会の 多い営業職や接客業などのお仕事をされている方々 の中には、身だしなみの一環として歯のホワイトニ ングや定期的なクリーニングをルーティンにしてい る方も増えてきました。また、口元の美しさは外見 だけでなく、自己管理能力の表れとも受け取られま す。規則正しい生活、健康に対する意識、清潔感を 保つ習慣など、これらが備わっている人物であるか どうかを、相手は無意識のうちに“口元”を通じて判 断しているのです。 さらに重要なのが、「健康」という観点です。歯周 病は、日本の成人の約8割が罹患しているともいわ れる国民病ですが、糖尿病や心筋梗塞、認知症など 多くの全身疾患とも関係が深いことが明らかになっ ています。口腔ケアの不備は、単に印象を損ねるだ けでなく、将来的な病気のリスクを高めることにも なります。また、突然の歯の激痛や腫れによって 突発的に仕事を休まざるを得ない、あるいは集中 力を欠いたまま業務にあたっているといった事例 も少なくありません。食事ができない、眠れない、 痛みで目が覚めたという経験をされたことがある 方も少なくないはずです。このような健康寿命や 仕事のパフォーマンスにも大きく影響してくるむ し歯や歯周病のリスクは、企業にとっては人的資 源の損失であり、生産性低下や機会損失にもつな がります。 このような背景から、近年では「健康経営」の 取り組みとして、社員に対して定期的な歯科健診 や口腔衛生指導を導入する企業も増えつつありま す。従業員の健康に配慮する姿勢は、企業のイ メージアップ、組織の活性化、採用活動や社内エ ンゲージメントの向上、延いては業績の向上にも 繋がるとさえ言われています。 ビジネスの成功は、論理や数字だけでは語れな いものです。人と人との関係性の中で築かれて いく印象や信頼関係が、大きな影響力を持ち「ビ ジネス資産」になると考えます。また、毎日の ブラッシング、フロスの使用、定期的なメンテナ ンス、予防処置などを行うことによって痛みや不 快感を回避すると同時に、生活の質や健康に対す る安心感の向上により「健康経営」の礎になるで しょう。口元を意識し大切にするということは、 小さな投資でありながら大きな成果を生む戦略的 なセルフマネジメントとも言えるのではないで しょうか? 日々のオーラルケアや定期的なメン テナンスを是非とも実践して頂き、広めて頂きた いと思います。 兵庫県歯科医師会 地域保健常任委員会委員 青山 康大郎 第1印象は口元から ―ビジネスにおけるデンタルケアの重要性― 19 兵庫経協 2026年新年号
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