は一定の条件の下で就業規則の変更による場合に しか認められていません。 この点、リモート勤務制度の廃止が不利益変更 に当たるかどうかについては、それぞれの企業に おける制度の具体的な内容や運用状況によって大 きく左右されるところであり、明確かつ確実な基 準があるわけではありませんが、企業として一定 のルール(リモート勤務規程等)を設けた上で体 系的にリモート勤務を制度運用しており‘リモー ト勤務’という形態が労働者の労働条件の一部と なっていると評価されるような場合や、体系的に 運用しているとまではいえなくとも特定の労働者 に対して個別にリモート勤務を認めているケース でこれを廃止するような場合には、やはり労働条 件の不利益変更に該当すると判断される可能性が 相当程度あると考えるべきでしょう。 3 リモート勤務を廃止するに当たっての判断要素 では、リモート勤務の廃止が労働条件の不利益 変更に該当するとして、どのような点に気を付け て制度変更を進めるべきでしょうか。 先にも少し述べましたとおり、労働条件の不利 益変更といっても例外なく全てが禁止されている わけではなく、個別合意がある場合か、あるいは 一定の条件の下で就業規則の変更による場合には 例外的に許容されます。 先ず、企業としてリモート勤務を体系的に運 用しているような場合には、おそらく「リモート 勤務規程」のような規則が制定されていることが 通常かと思われますので、制度を廃止する場合に はかかる規則(労働条件に関するルールの一つと いえますので、名称の如何にかかわらず労働基準 法上の就業規則の一部となります。)を廃止するこ とでリモート勤務制度を廃止することになります。 この点、就業規則の変更によって労働条件を不利 益に変更するには、労働契約法第10条が「変更後 の就業規則を労働者に周知」することと、変更の 内容が「労働者の受ける不利益の程度、労働条件 の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当 性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則 の変更に係る事情に照らして合理的なものである」 必要があると法定していますので、それぞれの企 業の制度内容に応じて変更の必要性や相当性につ いての詳細な検討が必要です。もちろん、コロナ 禍をきっかけにリモート勤務を導入したような多 くのケースでは元来は現実に事業場に出社するこ とが原則であったはずなので、変更の必要性や相 当性があると認められるケースは決して少なくは ないものとも考えられますが、一方で規則の変更 (制度の廃止)にかかる合理性ないしは相当性の 検討においては、企業内でのこれまでの制度の利 用状況や制度運用上で顕出された問題点の抽出、 さらには廃止に際して代替制度の検討が行われた かどうか等様々な要素を複合的に検討する必要が あります。 次に、企業としてリモート勤務を体系的に運用 しているような場合でなくとも、個別にリモート 勤務を認めていたような場合には、これを中止す ることについての個別の同意が必要となります。 但し、ここでの個別の同意については、労働者が 真意の下で同意したといえることが必要であり、 労働者において本当は同意したくなかったがやむ を得ず同意せざるを得なかったというような事情 があると、事後的に問題となるリスクが非常に大 きいことに十分な注意が必要です。 4 その他の注意点 以上のとおり、リモート勤務の廃止に際しては 法的に繊細な判断が必要となる場面が少なくない ですし、特に最近においては上述したような身体 的ないしは精神的な私傷病等で事業場への出社が 難しいものの自宅勤務であれば大丈夫というよう な労働者に対しての制度適用という場面に類する ものとして、障害者に対する合理的配慮の観点か らの検討を要することもあり得ますので、企業と してはなお慎重かつ丁寧な対応が求められるとこ ろであり、早い段階で個別のケースに応じた適切 な対処を弁護士等専門家に相談することをお薦め 致します。 経営側の視点で活動する「兵庫県経営法曹会」メンバーに、事業運営上のお悩みを相談しませ んか? 企業経営に関わることであれば対応します。エキスパート弁護士をご紹介しますので、 是非、ご活用ください。 お申込みは、ホームページ、または、QRコードをご利用ください。 https://www.hyogokeikyo.com 兵庫県経営者協会 初回 相談無料 (60分程度) 9 兵庫経協 2026年春号
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