「兵庫経協」2026夏号

【歯の健康シリーズ】 T O P I C S オーラルフレイルとは、加齢に伴って口の機能が 少しずつ低下していく状態を指します。「オーラル (口腔)」と「フレイル(虚弱)」を組み合わせた言葉 で、健康な状態と重度の口腔機能障害との中間段階 にあたります。単なる口の問題ではなく、全身の健 康や生活の質(QOL)に大きく関係することから、 近年注目されています。 オーラルフレイルの主な症状としては、「食べこ ぼしが増える」「硬いものが食べにくくなる」「むせ ることが増える」「滑舌が悪くなる」「口の中が乾く」 などがあります。また、歯の本数が減ることや、入 れ歯が合わないこと、舌や口周りの筋力低下も原因 となります。これらの変化は加齢による自然な現象 と考えられがちですが、放置すると食事量の減少や 栄養不足を招き、身体機能の低下や要介護状態につ ながる可能性があります。 オーラルフレイルが進行すると、十分に噛めない ために柔らかい食品ばかりを選ぶようになり、栄養 の偏りが生じます。また、飲み込む力が弱くなるこ とで誤嚥(ごえん)が起こりやすくなり、誤嚥性肺 炎のリスクも高まります。さらに、人との会話がし にくくなることで社会参加の機会が減り、孤立や認 知機能の低下にも影響すると考えられています。こ のように、口の機能低下は身体的・精神的・社会的 な健康に広く影響を及ぼします。 オーラルフレイルの予防には、日頃から口腔ケ アを行うことが重要です。毎日の歯磨きや定期的 な歯科受診によって、むし歯や歯周病を予防し、 歯の健康を維持することが基本となります。ま た、よく噛んで食べる習慣をつけることや、硬さ の異なる食品をバランスよく摂取することも効 果的です。さらに、口や舌の筋力を保つために、 「パ・タ・カ・ラ」と発音する口腔体操や、舌を動 かす運動、頬や唇のトレーニングなども推奨され ています。 超高齢社会を迎えた日本では、健康寿命の延伸 が重要な課題となっています。その中でオーラル フレイル対策は、食べる・話すといった基本的な 機能を維持し、自立した生活を続けるための重要 な取り組みです。口の小さな衰えは見過ごされや すいものですが、早期に気づき適切な予防や改善 を行うことで、全身の健康維持につなげることが できます。オーラルフレイルは「年齢のせい」と 諦めるのではなく、積極的なケアによって予防・ 改善できる健康課題として捉えることが大切です。 兵庫県歯科医師会 地域保健常任委員会委員 廣田 和之 オーラルフレイルについて 12 兵庫経協 2026年夏号

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