働き方改革の中で、正規雇用労働者と非正規雇 用労働者の不合理な待遇差を禁止するいわゆる同 一労働同一賃金に関する法整備がなされた。それ に合わせて「短時間・有期雇用労働者及び派遣労 働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針 (ガイドライン)」が定められ、不合理と認められ る具体的な基準が示された。 その後5年が経過し、この間に不合理の判断基準 に関する判例の蓄積もあったことから、このたび ガイドラインが改正された。新しいガイドラインは 今年の10月1日から施行されることになっている。 パート有期法第8条の考え方 パート有期法(短時間・有期雇用労働者及び派 遣労働者の雇用管理の改善等に関する法律)の第 8条は、短時間労働者・有期雇用労働者と通常の労 働者(正社員)との間で、不合理な待遇差を設け てはならない旨を定めている。 不合理な待遇差であるかどうかは、基本給、賞 与、各種手当、福利厚生など、待遇のそれぞれに ついて、待遇の趣旨・目的が職務内容(業務内容・ 責任の程度)、配置の変更の範囲(人事異動の広 さ)、その他の事情(能力・経験・成果・慣行など) に照らして判断されることとされている。 したがって、同じ仕事に従事しているからと いって、正社員と短時間・有期労働者の待遇差が すべて不合理とされるわけではなく、逆に仕事の 内容が異なるからといってすべての待遇が異なっ て当然というわけでもない。 新たにガイドラインに追加された内容 判例による基準が示されていなかったことから、 当初のガイドラインには盛り込まれなかったが、 その後の判例の動向も踏まえて今回新たにいくつ かの待遇について基準が示された。 ●賞与・退職手当 賞与や退職手当の目的には、労務の対価の後払 い、功労報償、生活費の補助、労働者の労働意欲 の向上等の様々な目的が含まれる。これらの目的 が妥当するにもかかわらず、短時間・有期雇用労 働者に対し、正社員との間に職務の内容等の違い に応じた均衡のとれた内容の賞与・退職手当を支 給しない場合には不合理と認められる可能性があ るとされた。 もっとも、「その見合いとして、労使交渉を経 て、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的が妥 当しない他の短時間・有期雇用労働者に比べ基本 給を高く支給している(下線筆者)等の事情」が あれば不合理と認められないとの記述もある。不 合理性の判断において短時間・有期雇用労働者同 士の待遇を比較することは、これまでの判例には 見られないところであり、今後の影響を注視する 必要があろう。 ●家族手当 労働契約の更新を繰り返している等、継続勤務 が見込まれる短時間・有期労働者には正社員と同 様に支給が必要とされた。逆に、定年後再雇用の 有期雇用労働者など長期の勤続が見込めない者に 対しては支給することを要しない。 ●住宅手当 住宅手当が「転居を伴う配置の変更の有無に応 じて支給するもの」である場合、正社員には転居 を伴う配置の変更があるが、短時間・有期雇用労 働者には転勤がないのであれば正社員にのみ住宅 手当を支給することは不合理ではない。もっと も、実態として正社員に転勤を命じていない場合 や転勤の有無にかかわらず正社員のみに住宅手当 を支給しているような場合には不合理な待遇差と なり得る。 労働政策ニュース 特 集 同一労働同一賃金のガイドライン改正について 人事労務倶楽部 社会保険労務士 宮内 雅也 3 兵庫経協 2026年夏号
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